小生、少々、酒を嗜む。

ミュンヘンに行ってきた。正確には、ミュンヘンで「飲んできた」という方が正しい可能性すらある。金曜日の夕方にカールスルーエを出た。金曜日の午後はこちらはほとんど休みの感じすらあるのだが、一応15時までは仕事をしてカールスルーエのHbfへ。時間が余っていたので、駅でビールを2杯ほど。もうほとんどソフトドリンク感覚である。

カールスルーエからミュンヘンまでは2〜3時間ほど。一眠りすれば到着する距離感である。今回の旅の目的の一つはミュンヘンのマックスプランク研究所を見る事であった。東大の時の良き友であり、釣り仲間でもある市之瀬くんがマックスプランクの博士過程にいるので、彼の家に御厄介になることにした。のせ氏の指示に従い、ミュンヘンから一路マックスプランクを目指す。だいたいメインHbfから40〜50分ほどで到着。いろいろなところに資金の豊かさを感じるし、それ以上に研究面での充実を実感した。前ラボの上司の繋がりで何回かお会いしたことある日本人ポスドクの方もここで働いていることを知っていたので、ディスカッションしつつラボを案内してもらったが、やはりカールスルーエとは動いている額の規模が違うことを思い知る。もちろんストックセンターであるKITとは金の使いどころが違うというのもあるかもしれないが、神経系の研究をするならば、資金的にも人材的にも本当に充実している研究所である。

三人で一緒に夕御飯に。のせ氏の家の近くのメキシコ(?)料理屋。イカのカラマリがあんまりこっちで食べない食材なので、気持ち的にも新鮮で美味しかった。ErdingerのWeissの樽生を2杯ほど。帰りがけにサービスで謎のウゾを1ショット頂いたので、それもお腹におさめつつ。

2日目。のせ氏の家で一泊し、目覚めると9時くらいに。白ソーセージをのせ氏に御馳走していただきつつ、ダラダラと家を出る。ミュンヘンで有名な白ソーセージは昔は鮮度の都合から、午前中しか食べられなかったらしく、今でもその習慣を引きづり、食べるのは12時まで。お店に行っても、12時以降は食べることはできない。なかなか面白い風習だ。

のせ氏の家から歩いて10分ほどでオクトーバーフェストの会場があるとのことなので、自分の死地を検証するべく、そこまで散歩。まだ建設中であったが、ビール専用のテントと大きな像が建造中ですでに自分の中では闘いへの血潮が沸き立つのを感じた。

少しお買い物をしたあとに、ミュンヘンの中心であるMarienplatzへ。駅を降りるとすぐに圧倒的な歴史を感じる市庁舎がそびえ立つ。まぁそれを観察しつつ、市庁舎の中のオープンビアパブへ。フランティスカーーーーーーナ!日本でも好きでよく飲むビールだが、ここでは500mlの大ジョッキで3.5ユーロ。美味いし、天気も良いので外で飲める樽生は最高である。

さくっと一杯飲んだあとに、将軍廟とやらに向かう。大きな広場の前にギリシャ風の建物がどーんとそびえ立っているが、そんなものはもはやどうでもよい。目の前の広場ではドイツワイン祭りをやっていたからだ。Frankenweinというジャンルで各醸造所がテントを出していて、各テントが10種類ほどのワインを提供している。スパークリングのWeingut Scheuring 2009 Winzersektを飲んだ後に、白2011er Riesling Apatiese trocken→白Weingut Rainer Sauner 2011のSilvanerを頂いた(あともう一杯飲んだのだが、忘れてしまった…)。

軽く目の前にある大聖堂を回った後に、最後は赤ということで、Cabernet Dorsa 2009。一緒に食べた魚の燻製がたまらなく美味しかった。こちらにきてから食べた魚料理の中でベスト。

夜は、のせ師のラボの日本人ポスドクの方と一緒に御飯にいく約束をしていたので、それまでの間少し観光をして時間をつぶす。別の大聖堂に行ったのだが、ミサ中で中の見学はできなかったので、しょうがないので、目の前のカフェでさらにビールをもう一杯。Kuchlbauer WeissのDunkelだったかな?合流後は典型的なドイツ料理屋へ。肉とビールの取り合わせは本当に絶妙で、食事だけだったら、この国で自分はずっと生きていけるなと確信出来るレベル。この店と提携しているのか、「このオリジナルビールが美味いぞ!」とおばちゃんが言う物だから、SchneiderWeiss TAP7 Unser Originalを大瓶で二杯頂いて、ミュンヘン二日目終了。

3日目、起床して、のせ師の友人と合流しようということに。ミュンヘンに留学しにきている日本人だそうだ。話をしているうちに、衝撃的なことに、僕の中高の後輩であり、そして、僕の塾講師バイト時代の教え子であることが発覚。世界は狭いものである。ドイツに来ているはずなのに、こちらで出会う日本人の方はいずれも、直接の友人か、ヒトを一人介した知人。

そしてやってきました!HOFBRAUHAUSE!!ビールの聖地の一つであります。ホフブロイ醸造所直営の巨大なビアパブで、内装・外観が美しいだけではなく、ドイツの歴史の舞台に登場することもあるパブである。ちなみに、3階のホールでヒトラーが聴衆2000人の前で演説し、25カ条綱領が承認されたのも、このホフブロイハウスである。夜はお互いの声も聞こえないくらいウルサいらしいのだが、12時前ということもあり比較的静か。それでも多くのヒトが日曜の朝とばかりにビールを頼み続けている。

まずはHofbrau Dunkelを注文。ワクワクして待っていたら、なんとただの500mlの大ジョッキで出てきおった。このビアパブのウリは1リットルの特大ジョッキのはずなのに。日本人の肝臓もナメられたものである。さくっと頂いて、次はHofbrau Originalを「1リットルで!」と注文。やってきました特大ジョッキ。これであります。ホールには音楽隊がいて、生演奏を奏でているのだが、ときどき「乾杯の歌(Ein Prosit)」が流れる。すると、男達は皆、特大ジョッキ片手に立ち上がり、胸に手を当てて朗らかに歌い、終わるとみんなで乾杯!なんという天国のような国であろうか。ソーセージとステーキも美味しかった。そのあと、Munchner Weissを飲もうとしたら、店員のお姉さんが間違えて、またもやHofbrau Originalを1リットル持ってきた。「ごめん!まぁ、飲んでよ!」というので、有り難くもう1リットル頂き、最後にWeissを飲んでHofbrauhouseを後にした。

さて、帰りの電車まであと2時間ほど。中途半端に時間が余ってしまい、観光するには時間が足りない。というわけで、ホフブロイと並んで、僕の大好きなフランティスカーナを作っているシュパーテン醸造所の直営パブを訪ねることにした。ハムとチーズを頂きつつ、フランティスカーナのDunkelを500mlしっかり頂きました。なんやかんやで、Weiss系の方が僕は好きで、本当に言葉通りいくらでも飲めてしまう。

最後に駅で、電車用ビールを1本買って無事にカールスルーエに帰宅。カールスルーエの地元の教会を見ると少し安心するようになった自分がいる。のせ氏、いろいろありがとうございました。非常に楽しいミュンヘンの酒旅であった。