「誰」という記憶を蓄えてる細胞たち

やっと、サイエンスの論文が世に出ました。 "Ventral CA1 neurons store social memory.” http://science.sciencemag.org/content/353/6307/1536 MIT NewsはAnne Traftonさんという非常に優秀なライターの方が素敵な記事にしてくれました。 僕も解説記事をい…

総説などのまとめ (2014年度上半期)

写真をクリックして、 写真の下の「オリジナルサイズを表示」をクリックすると拡大されます。 [本] 新・生命科学シリーズ 『動物行動の分子生物学』(裳華房) 5章 オプトジェネティクスによる神経科学の急展開 [雑誌] 恋の分子生物学:Molecular Biology of…

小生、窓際族になる。

今まではDry Labというデスクワーク用の部屋だったのだが、Wetの研究者なのでWetラボの方にデスクとベンチを貰えることになった。先週末でいなくなった院生のスペースにそのまま入る事に。ラボの中でも太陽光が十分に入るスペースで、奥まっているので誰も来…

小生、マウスとネコくんと友達になる。

怒濤の1ヶ月間が経過した。家の周りの探索、ソーシャルセキュリティーナンバー、MITのID、生命保険、部屋の鍵、動物講習会、携帯電話、銀行口座の開設、etc…。初めの一ヶ月なんてそんなことばっかりで経過していく。ただ、MITはドイツと比較して、圧倒的に…

小生、テロに巻き込まれる。

ボストン、激動の一週間が明けた。 事件発生の流れはアメリカだけでなく日本でも多く報道されていることだろう。事件発生は今週の月曜日だった。ボストンマラソンゴール付近での爆破事件である。月曜日はマサチューセッツの休日だそうで、休日の来る来ないは…

小生、少々、酒を嗜む。

ミュンヘンに行ってきた。正確には、ミュンヘンで「飲んできた」という方が正しい可能性すらある。金曜日の夕方にカールスルーエを出た。金曜日の午後はこちらはほとんど休みの感じすらあるのだが、一応15時までは仕事をしてカールスルーエのHbfへ。時間が余…

小生、活きている。

カールスルーエのカイザーストリートには数多くの小さな店々が立ち並んでいるが、その中でも僕のお気に入りで鉄板で美味いところが3カ所ある。一つは連日紹介しているビアアカデミー。生ビールの品揃えが良く回転率も高いので、他店よりもヴァイツェンが美味…

小生、事件に巻き込まれる。

帰国した。日本に帰国し、ドイツに帰国した。もちろん自分の国という意味では日本だが、今や仕事の中心はドイツにあるわけで、こちらも帰国と言えば帰国である。蒸し暑く肌にべっとりとまとわりつかれるような日本の気候にも懐かしさを感じたし、さらっと18…

小生、はからずも東大農学部バーに思いを馳せる。

Education is what remains after one has forgotten what one has learned in school. ~ Albert Einstein教育とは、学校で習ったすべてのことを忘れてしまった後に、自分の中に残るものをいう 〜アルバート・アインシュタイン土日は両日ともに、午後はカフ…

小生、活気あるセミナーに感動す。

ハイデルベルグ大のJochenに招待されたので、これまでの研究のトークを行ってきた。トークといっても、彼のラボでインフォーマルトークなので、そこまでストレスに感じることはない。朝、Fish houseの前でRaviと待ち合わせて、彼の車でハイデルベルクへ。カ…

小生、実験に苦しむ。

月曜日。昨日は夜9時くらいには寝てしまったので、3時過ぎに目が覚める。そのままラボにいく準備を進める。隣のラボのテクニシャンのクリスティンが月曜日朝7時から今僕のやりたい実験を行っているので、今日は見せて貰おうと約束していたのだ。始バスに…

小生、ドイツで蕎麦を食す。

ドイツ何日目制はひしひしと僕の心に静かなプレッシャーをかけるので、やめることにした書きたい時にかけるようにしよう。土日はもう家にいてゆっくりする事が一番の回復になってきた。ドイツに来る前には、毎週末はいろいろな所に旅しようと思っていたが、…

ドイツ14日目〜小生、日本とドイツの大学組織の差を体感する〜

朝。快晴。やや肌寒い。街行くヒトには未だ長袖もチラホラ。 今朝は街でイワシのマリネサンド的なものを食べる。こちらに来てから初めての生魚。日本ほどではないが、まともに美味しい。昼にキャサリンに聞いたら、ドイツは鮮魚の流通は結構良いそうで、北海…

ドイツ13日目〜小生、ツール集めに奔走する〜

Twitterを見ているとどうやら日本は暑かったらしい。カールスルーエは本日最高気温27度、最低気温17度。朝、登校時はだいたい20度くらいで、湿度もほどよく快適です。朝御飯は市内で買う時間がなかったので、生協で。ローストビーフとレタスのサンドイッチ!…

ドイツ12日目〜小生、ドイツワインに目覚める〜

今日はハイデルベルクでセミナーの予定だったのだが、なんと今週はセミナーがない週だったというのを先方が忘れていたそうで、セミナーは来週に延期、僕は普通にラボに行くことになった。今日の朝御飯は市内のショップで購入。カマンベールチーズとレタスを…

ドイツ11日目〜小生、やっと研究者らしい生活になってくる〜

6時半起床。7時出発。予定通り7時半初の始バスに乗ってラボに到着。朝御飯は謎のサンドイッチを取ったら、ハンバーグサンドパン。肉系はどれも本当においしくて、焼きたてのハンバーグが肉汁たっぷりで、ただパンにはさんでいるだけなのに、なんとも言えない…

ドイツ10日目〜小生、ディスカッションに追われる〜

果たしてこのブログをどれだけのヒトが読んでくれているのか分からないが、何人かからレスポンスを貰ったので今日もセコセコと書いていこうと思う。朝、いつも通りに6時に起床してワークモード。昨日に引き続き今日も軽い雨。8時のバスに乗るために7時35分に…

ドイツ9日目〜小生、日本食を作る〜

今日は雨が降っていた事もあり、家に引きこもることにした。正確には、元々疲れがかなり出ていたので引きこもろうと決めていたところに、雨が重なったといったところ。日曜日くらいは日本食を食べようと思っていたので、昨日は家の近くにあるサーチンおすす…

ドイツ7日目〜小生、やっと一週間を迎える〜

朝、6時に起床するも、全く動けないくらいに体が疲れていた。来週には実験を習い始めたり、様々な事が始まるので、今日までは少しダラダラペース。ドイツ語に慣れてきた。正確に言うと、ドイツ語が分からない事に慣れてきた。午前はITGのフライデーセミナー…

ドイツ8日目〜小生、携帯を手に入れる〜

こむら返りで目が覚めるという最悪の目覚めをした。痛い。今日はとうとう携帯を買いに行く事に。日々の生活は家とラボでどちらもネットが入ってるので大して不便は感じないのだが、携帯が無いと、せっかくの土日にどこかに行こうという気が失せてしまう。今…

ドイツ6日目〜小生、異国の地でサッカーを見る〜

朝、ちょっと寝坊して少し寝ぼけながらパソコンに繋ぐと、スカイプがかかってきた。出てみたら、とある会議のスクリーンだった。眠気吹き飛ぶ。こうして俯瞰してみるにつけて、8年前と何もかもが違う。状況も、出来る事も。本当にいろんな人に助けられてる…

ドイツ5日目〜小生、「やっぱりドイツ人って真面目だなー」と感慨に耽る〜

朝からメインメイドのおばちゃんに話しかけられる。「ぐーてんもーーーるげーん!」テンション高いから何かなと思ったら、「あなたこないだ部屋に鍵忘れて開けてもらったでしょ?あの罰則、30ユーロだから、払ってね!うふ!」と。何も言われないから、忘れ…

ドイツ4日目〜小生、いろいろ戸惑う〜

毎朝4時起きして、日本とスカイプディスカッションしてから、論文執筆。6時半に家を出てラボに行き、ラボを出るのが19時半というスケジュール。夜にはたっぷりビールを楽しむ時間が残る。朝から長い散歩。うちからKIT南キャンパスのバス停までは歩いて20分。…

ドイツ3日目〜小生、ラボ生活が始まる〜

朝から部屋に電話がかかってくる。ゲストハウスのオフィスのおばちゃん。英語の電話って今でも緊張する。そのあとに部屋が突然開いて、そうじのおばちゃん。毎朝クリーニングが入るそうな。まぁ部屋が散らからなくていいか。メールで話してたおばちゃんは、…

ドイツ2日目〜小生、ドイツの日曜日は本当に日曜日なことに衝撃を受ける〜

教会ハンパない。うるさすぎる。朝6時から轟音の鐘が鳴り続ける。これまでの人生で最も豪快な目覚まし時計。10時からは日曜ミサらしく、どんどん地元民が集まってくる。 自分の部屋以外に共通のリラクゼーションスペースがあるのだが、なかなか居心地が良い…

ドイツ1日目〜小生、ドイツの地を踏む〜

あんまり映画見られなかった。眠すぎて。麒麟の翼、英国王のスピーチ、ヒューゴの不思議な発明、デンジャラス・ランの4つ。飛行機の偏光板の窓すごい!機長からもコントロールできるし。 フランクフルトの空港にて、到着ゲートが無いという謎の事態で、しば…

フェロモンによる脳の切り替え 〜男脳と女脳はなぜ生まれる?〜

さて、今日はフェロモンの話から少し別方面に話題を展開してみよう。 マウスなどの齧歯類で極めてよく研究されている事なのだが、「フェロモン」と「通常の匂い物質」は鼻の中でも感じている場所が異なっている。どちらも多くの場合、非常に小さな化学物質が…

ヒトのフェロモン 〜女の子をメロメロにする男の匂い〜

それでは異性をメロメロにするフェロモンとは何なのか? フェロモンとは、体の中で合成された後に、体外へと分泌され、同種の他個体へと情報を伝える物質のことである(一般的に揮発性の小分子であることが多い)。従って、性的なもの以外にも様々な場面で生…

恋と匂い 〜恋の相手と結婚相手の矛盾〜

それではヒトは何を価値基準に異性を選んでいるのか? 数年前まで私は高校生の前で話をする機会が多く、その授業のなかで毎年「彼氏彼女、あるいは、好きな異性がいるヒト?」と炙り出した上で、その相手のどこが好きなのかを聞くという活動を行っていた。高…

メスの選り好み行動 〜ワタシはアナタのここが好き〜

結局のところ、生物が生きる意味とは「自らの遺伝子を残す」ためである。『利己的な遺伝子』を著したリチャード・ドーキンスは生物を「遺伝子の方舟」と称したが、まさにその文字通り遺伝子を次の世代に残すための器にすぎない。(極めて興味深いことに、し…