ドイツ5日目〜小生、「やっぱりドイツ人って真面目だなー」と感慨に耽る〜

朝からメインメイドのおばちゃんに話しかけられる。「ぐーてんもーーーるげーん!」テンション高いから何かなと思ったら、「あなたこないだ部屋に鍵忘れて開けてもらったでしょ?あの罰則、30ユーロだから、払ってね!うふ!」と。何も言われないから、忘れてたと思ったのに。やはり大阪のおばちゃんは、銭に細かい。

体が少し筋肉痛。何にも運動してないのに、かなりの距離を歩いているようだ。実際、研究所はかなりの広さがあるので、セミナーを受けるのにも、ディスカッションをするのにも長距離を歩く。東大のイメージで言うなら、理学部二号館と理学部三号館を一日で三往復くらいしている。

うちからKIT南キャンパスまで行く道は、カイザー通りというカールスルーエのメイン通りなのだが、どの店も朝御飯が美味しそう。大きめのサンドイッチが目玉商品で、どの店も力を入れている。

KITの地図の中にCASINOと書いてあったから、ワクワク気分で「研究所の中に、カジノがあるの!?」とサーチンに聞いたら、「テルはここには毎日いってるよ」と。毎日ランチを食べてる食堂と売店がある生協の事だった。ショック。ショックを受けつつも、今朝は朝御飯をここで買ってみた。ローストポークのサンドイッチでシンプルだが、なかなか旨い。

サンドイッチが2ユーロだったので、安いねと言ったら、サーチンが「安くないよ!」と。円高だから、今はヨーロッパでは住みやすいんだと話したら驚かれた。サーチンはインドの奨学金を貰ってるそうだが、ユーロ払いなので変動しないそうだ。彼の中国の友達等もみんなユーロ払いとのこと。

木漏れ日が心地いい。そこそこ個人のスペースが広いので、どこをデスクにして、どこを実験プラッツにするかなど自分で決める事ができる。ただ、日本よりもデスクとプラッツを分けようという意識は高く、実験を行う「部屋」ではなく「エリア」では、飲食禁止。

午前は黙々と論文を調べていたのだが、堀川さんが面白い記事を書いていたので、遊んでみる事にした。「Edanz社が、どのジャーナルで論文発表するのが最適かを選択支援する無償ツール"Journal Selector"β版を発表した。論文の抄録、description、またはテキストを入力すれば、18,000誌の中からその論文を発表するに相応しいジャーナルを選択してくれる、著者向け迷い解決支援ツール。」というもの。

http://www.edanzediting.com/journal_advisor

自分のとある論文のアブストをぶっこんだところ、一番上の「オススメ」で出てきたジャーナルが、その論文でrejectされたジャーナルだった。軽くイラっとした。

昼御飯はたっぷりのサラダと、シーフードパスタ。麺がちょっと伸びめだけど、美味しい。肉料理の方が美味しいのだけど。

容赦なく、来週までにトランスジェニックを6ライン作ろうと言われ、衝撃を受ける。ノウハウが揃っている事とテクニシャンが充実しているからなのだろうが、トランスジェニックへのこころの垣根がかなり低い。このあとに控える本丸に対して、「チェックのため」の6ライン。

とにかく、ボスのサイエンスが理詰め。妥協なし。ここに詳しくは書けないが、例えばトランスジェニックのためのプロモーターを何kb設定するかにすら、理由が求められる。「だいたい7kbぐらいつっこんで、あとでin situで確認すればいいじゃーーーん」的な思考は皆無。何故7kbなのか、何故6kbでも8kbでもなく7kbなのか、から始まる。マウスでのプロモーター解析の論文をリファレンスに出しても、「マウスと魚は違って当てにならないから、魚でまずは調節領域が分かるデータを出そう」となる。本当にドイツ人って実直。地道に一歩一歩、確実に前へと進む。

というわけで、徹底的に論文の下調べが求められる。「論文を読むこと」と「自分の目の前の発見だけを足場にする」のは、どちらも一長一短で、前ラボと様々な意味で対極だが、これも楽しい。その環境で学べるやり方を、全力で学んで、全力で味わい、全力で楽しむ。こういうの、大好き。

名前の記憶能力がどうしてこうも違うのだろう。欧米に行くといつも感じる事だが、明らかに日本人より、名前(特に1st name)を覚える能力が高い。聞き取れないくらいの軽い挨拶で彼らは僕の名前を記憶するのに対して、こっちは必死。

帰宅してから論文を書くつもりがビールを飲んでしまったために効率低下。英語の勉強に切り替える。懐かしの○緑会英語問題集。最近、英語がすごく面白い。僕は「必要性」と「面白さ」を感じられないと、本当に全く何も出来ない無能人間なのだが、今は語学に対してそのどちらも感じられているので、まさに稼ぎ時!ただ、知ってるボキャブラリーが貧困なので、時たま考えられないミスをする。今日は「anybody」を「antibody(抗体)」に読み間違えて、一瞬ぽかーーーんとしたのは御愛嬌。

住んでいる部屋がなかなか居心地がいい。月4万とはとても思えない。汚くなる前に写真撮影。部屋からは、となりの教会が見える。ちなみに、これが21時半の陽の差し込み具合。

気付いたら、ビールが三瓶空に…。1本60円だと油断する。ちょっと炭水化物を取りすぎたので、今日は夜御飯無し!おやすみ世界!今日も幸せ!