ドイツ12日目〜小生、ドイツワインに目覚める〜

今日はハイデルベルクセミナーの予定だったのだが、なんと今週はセミナーがない週だったというのを先方が忘れていたそうで、セミナーは来週に延期、僕は普通にラボに行くことになった。

今日の朝御飯は市内のショップで購入。カマンベールチーズとレタスを木の実パンに挟んだもの。カマンベールとちょっと固めに焼いたパンって本当に合う。ワインバーでも頼みたくなってしまうけれど、正直ちょっと割高な気分になってしまうので、さくっとこういう感じで朝に食べるのは本当に好き。このパンでだいたい200円。歩き食べしながら、バス停へ。

新しい予算を取ってから、初めての注文。オーダーをオンラインでする。自分の科研費を使ってオーガナイズすると、意外とちょっとしたものにお金がかかることを強く実感する。プライマー、試薬、なんでも。ちょっとずつ減っていって、頭の中で今自分のお金がいくら残っているのかを考えながら進む。僕の前の上司は(元々その御師匠様の言葉だそうだが)、「データが出なくて苦しい時ほど、惜しまずにお金を使ってコアになるデータを掴むのが良い」と良く教えてくれていたし、僕の祖父も「お金がなくて苦しい時ほどお金を使い、お金に余裕がある時は使うな」という言葉を残してくれたが、これは意外に難しいことで、すぐに貧乏性が出てしまう。プライマーとか特に。なんやかんや少ししか使わないのに、すぐ万円オーダーに行くし、酵素も高い。しかし、研究が進まずに、論文が出なければ前には進まないので、ここはオーダー。でも、こういう苦労のあるオーガナイズもなかなか楽しい。

僕は昔から圧倒的に「信長の野望」や「三国志」といったシミュレーションゲーム好きで、自由度が高くストーリーを自分で作る物に惹かれていたのだが、結局、一番楽しいシミュレーションゲームって「人生」そのもので、どうせやるなら全力で楽しみたい。だって、一回しかないんだし。

ちなみに、オーダーも顕微鏡や多数の共通機材の予約、全てオンライン(薄切の機械でさえも!)。この間から書いているが、圧倒的に共同利用が日本より多いので、オンラインレベルで全てを管轄しないと回らないようだ。納品書だけは日本と同じように秘書さんに出す。

お昼御飯は、サーチンおすすめのターキーチキンwithヨーグルトソース!「今日は間違いない!メニュー3だ!決まりだぜ!」と言っていたのだが、はっきり言おう!サーチンと食の趣味が合わない気がする!(笑)たぶん、彼はドイツの典型的な肉系料理が苦手とみた。それなりに美味しいが、まぁ普通。これで350円。

昼ご飯は、サーチンのインド人の友達2人と一緒に食べたのだが、やはりインドは言語の問題が激しいそうだ。インド国内に数十の言語があって、お互いに意思疎通はできない。共用語のヒンズー語も怪しいヒトが多いそうで、今や上層階級は全て英語で回ってるとのこと。学校にもよるそうだが、授業は基本的には全て英語だそうだ。学校の罰則の中に「一日英語しか使ってはいけない」というのがあるというのも驚き。

午後一発目からフェリックスが来て、「漢字を教えてくれ!」と言う。彼は目が大きくなるメダカの変異体を以前に同定して、論文発表しており、メダカにかけて「メデカ」と名付けている。誰が彼に「デカい」なんて単語を教えたのかは知らないが。で、「目高」的な雰囲気で、メデカをかっこいい漢字で書きたい、と。…無いです(笑)「デカいはスラングです」と解説したときに、ちょっと彼がしょんぼりしてたのは秘密。

サーチンにも今日、漢字とひらがなとカタカナについて聞かれ、説明したのだが、冷静に考えるとなかなか不思議だ。インドでは隣のエリアのヒト達と意思疎通ができないわけで、そんな彼は初め、日本には「漢字」「ひらがな」「カタカナ」という3つ言語があって、テルはその3つの言語を全て使いこなせると勘違いしたようだ。「意思疎通できるなら、全部ひらがなでいいじゃん!」と言われて、まぁそうなんだけどね…、何故かと言われるとと詰まってしまう。ひらがなは55音で、漢字は数千?というのも、サーチンは理解に苦しむポイントだったようだ。サーチンの提唱する「日本はひらがなで十分」理論。実際、僕らの使う漢字は「区切りを分かりやすくし、理解速度を上げる」と「インテリジェンスの象徴」意外の意味って何があるのだろう。

とうとう、メダカとゼブラの準備開始。とりあえず、100水槽弱で野生型のペアーを作ってもらう。スペースは本当に十分。いくらでも展開可能で、整備も行き届いている。加えて、こちらが指示するだけでテクニシャンが全てやってくれるのもいいところ。ラックの準備や、水槽の掃除、メダカの廃棄から始まり、100ペアーの作成、系統維持などは全て彼らの仕事。特にうちのラボのテクニシャンのキャサリンは昔からフェリックスと一緒にやってきた超優秀テクニシャンで、試薬や培地、アガロースゲルでさえも彼女が全て作る。試薬レシピと必要な量を言うと、面倒な試薬でも何でも、全て出来上がってくる。更には、隣のラボではin situやIHCもテクニシャンの仕事で、彼らに頼むとデータの形で上がってくるようだ。逆の観点から言うならば、「考える必要のある仕事」「特異化しなければ出来ない実験」こそがResearcherの領分で、自分が「今、自分にしかできない仕事を本当にしているのか」というクエスチョンを考えさせられる瞬間は多い。

帰りはトラムが渋滞するという不思議な現象が起きたので、途中下車して歩いて帰ってくる事にした。途中でショップに立ち寄って、ワインを買う事に。これまでビールを飲み続けていたのだが、ここはアルザスワインやドイツリースリングも楽しめるはずで、そこを逃すのはもったいない。農学部バーの柏木さんにワイン事情を報告しないといけないし。

さて、感想を一言で言うならば、想像を遥かに越えて安い。だいたい、どのワインもボトルで200〜400円くらい。これならば、「この店で一番高いワインをもてい!」という海原雄山的態度で、赤白一本ずつを購入。と言っても、450円と800円なのだが…。

家に帰って、白のリースリングを開けたのだが、それなりに美味しい。450円でこれなら間違いなく満足。ただ、一緒に合わせた昨日のゴルゴンゾーラには敗北です。ブルーチーズって美味しいんだけど、なんやかんやでこってり系の赤以外には敗北しがち。こういう白にはどんなチーズが合うのだろう?ただ、ドイツはチーズもワインも安く、種類が多いことが分かったので、これも十分に楽しめそうです。